売却前のリフォームは必要?
「住まいを売却前にリフォームしておけば、良い値段での売却につながるのでは?」このように考え、高額な費用を投じて大規模なリフォームの検討を始める売主様は少なくありません。また、「リフォームで費用がかかっても、その分を価格に上乗せして売却すれば、かかった費用は回収できる」とも考えてしまいがち。でも、リフォーム費用の上乗せは簡単ではなく、できたとしても販売価格が割高になり、住まいが売れにくくなってしまうこともあるのです。
リフォームをしたからといって高く売れるわけではない
中古住宅は築年数や構造、設備などで判断され、年々価値が低下していくものです。そのため、基本的には査定額を上げることは困難と言えます。どれだけ費用をかけて建てた住宅でも、築10年では何パーセント低下、築20年では何パーセント低下という具合に、機械的に査定されるのが実際のところです。
各々の住宅の状態に応じて査定額に多少の変動はありますが、状態が良いことでプラス査定になるケースは少なめです。逆に、状態の悪い住宅が築年数以上に査定額が下がるケースが増えています。つまり、リフォームをしてもその分を売却価格に反映させるのは難しいと言えるでしょう。
購入してからリフォームをしたいという人も多い
時流を考慮することも重要です。「築年数が古く安い中古住宅を購入してリフォーム・リノベーションを行い、自分にとって心地よい住まいの空間を創造したい。」最近、こんな希望を持つ人が若者を中心に増えています。
そんな“自分好みの住まいを創りたい”人が、最近リフォームをしたばかりの住宅を見せられたらどう思うでしょう。「自分でリフォームをする前にされてしまった」と、ガッカリした気持ちになったり、「リフォーム費用が販売価格に転嫁されているのではないか?」と損をした気分になってしまうはず。また、買主様の好みに合わないリフォームをされていたらなおさらです。
買う人の気持ちになって売ることが重要
とはいえ、リフォームすることがまったく無駄になってしまうわけではありません。同じ築年数の中古住宅でも、丁寧に扱ってきたためキレイな状態が保たれているのか、あるいは、掃除や修繕をほとんどしてこなかったのかなどで、住みやすさや売れやすさが異なってくるからです。
築20年、築30年の住宅と聞くと、ボロボロではないにせよ、ある程度の傷みや古さを想定する買主様は多いものです。その予想を良い意味で裏切るようなキレイな物件だとしたらどうでしょう。買主様が“とてもお得な掘り出し物”の物件を見つけたような高揚感を覚えるはず。そして、「この価格でこんなきれいな家が買えるなんて。早く買わないと!」と購買意欲が掻き立てられ、購入を即座に決める買主様も出てきます。
たとえば、戸建て住宅の場合、売れるまでの期間は平均で3カ月かかります。それ以上が経過しても売れない場合、値下げせざるを得ないこともしばしば。住まいを高く売るのは難しいことですが、今の住まいを速やかに売却したい場合、リフォームによって早期売却の可能性が高くなります。目的によっては、売却前にリフォームをするのも決して悪いことではないわけです。
どの程度まで手を入れるべき?
結論からいえば、ハウスクリーニングや目立つ場所の修繕にとどめておくのが無難でしょう。言いかえれば、ハウスクリーニングと一部分だけのリフォームが、早期売却に向けて最も効果的な投資です。
家の隅々までチェックをするのは、家で過ごす時間が長い人。つまり、奥様方です。そして、ほとんどの場合、そうした女性陣が購入の決定権を持っているもの。汚れやすいお風呂場や洗面場、キッチン、トイレなど、水回りを中心にクリーニングしておくと高評価が得られます。
また、クロスの張り替えや床の張替えなどのリフォームは比較的安価に済ませることができるのでおすすめです。汚れが目立つ場所の壁紙だけを新品に張り替えておくだけでも、家をきれいに見せる効果が期待できます。
まとめ
不動産の査定額に最も関係するのは築年数です。したがって、築年数が経過している物件の場合、リフォームが不動産の価値を引き上げることはほとんどありません。売却前のリフォームをお考えの場合、まずは不動産会社に相談してみる事をおすすめします。
売却前のリフォームは早期売却の可能性を高めるものの、費用対効果を考えた場合、得策とは言えません。ハウスクリーニングなど費用をあまりかけない方法で住まいをキレイに見せることに力を入れるとともに、内覧時の対応などで好感度を上げるよう工夫していきましょう。
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